公平な目で見たら

先日、朝の通勤がちょっと遅めの時間でした。乗り換えの際、運悪くちょうど出て行く電車を見送ることになりました。だから、次の電車を並んで待つことになったんです。でも、それが幸いして座る事ができました。小説の続きを読み始めようとしていたら、隣から「本、出して」と声が聞こえたんです。目は自分の手元に向けているけど意識は隣に向いていました。ちらっと横目で見たら、おばあちゃんが男の子に見えるようにコミックを広げて、いっしょに読んでるんです。もうひとりの女性がたぶん男の子のお母さんで、つまりおばあちゃんの娘さんかな。二人は同じコミックを黙読しているんです。でも、クスクスと笑ったりしていました。すると、おばあちゃんが「ジャイアンはホントに悪いなぁ」って言ったんです。でも、それに対する男の子の言葉が意外でした。「でも、のび太も悪いよ。自分では何にもしないでドラえもんに頼んでばっかり」って。すごく公平な目で見てるなって感心してしまいました。私は小説の続きを読むはずだったのに、いつのまにか隣の会話に聞き耳を立ててしまってたんです。どんな表情で彼がそんなことを言ったのか気になったけど、顔を覗き込むことなんてできません。途中の駅で降りていってしまって、私は後ろ姿しか見ることができませんでした。でも、あの子、きっと良い子なんだろうなって思いながら見送りました。

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