今の私はコーヒー派だけど、学生の頃はだんぜん紅茶派でした。母の好みで家の戸棚の中には数種類の缶がいつも並んでいました。そして、私は受験勉強中の深夜にひとり、一応勉強の休憩時間という名目でしたが、その日その日で缶を選び、ポットに熱いお湯を入れてゆっくり時間をかけて蒸し、丁寧にマイカップに注いだものでした。そして、その何とも言えない美しい色に、飲んでしまうのが惜しいと思ったものです。学生時代の深夜の紅茶は私の秘密の楽しみだったように思います。家族が寝静まっている時間に、キッチンでこそこそとリンゴを剥いたりもしました。いっしょにリンゴを食べるのが、なんとも幸せに思ったものです。ときには、オレンジマーマレードやジャムを入れて、「今日の私の紅茶」なんて独り言を言っていました。そして、そっと口に含み、その時の気持ちをノートに綴っていたのです。そうそう。時にはカップに向かって話かけたりしていましたね。私はちょっと変わった少女だったのかもしれません。昔から私は勉強をしないといけない肝心な時に、ポエムを書いてみたり、短い物語を書いてみたりしていました。で、そのまま机に突っ伏して寝てしまって、明け方にごそごそと布団にもぐりこむのです。
なんだか懐かしい時代です。久しぶりに今日は紅茶にしてみようかな。
月別アーカイブ: 2016年3月
今は駄目でも、いつか
大好きなシリーズものファンタジー小説があります。最新作がちょっと肌に合わなかったため、しょんぼりしていました。そして改めて第1作から読み返しているところです。最初は懐古に浸るためだったのですが、やっぱり面白いです。大好きです。そして、今作ほどではないものの、いまいちだなあと思っていた巻の魅力に改めて気づくことが出来ました。
当時は悪いところばかり目に付いたものですが、今作のおかげで再評価する気持ちになれました。そして今、一時の感情に駆られて不当な評価をしてきたのではないかと猛省中です。
その巻は上下で完結し、上はもう文句の付けようがないほど面白かったです。ヒキもうまかったと思います。しかし物語を完結させることは書き出すことより難しいと言われているように、着地のさせ方が少々荒唐無稽で、起承転結の「転」に当たる部分がいわゆる「超展開」だったこともあって、当時、個人的には期待はずれでした。
でも一応、上巻から伏線は張られていたんですよね。スライドのさせ方がちょっとまずかったと言いますか、ものすごく唐突だっただけで。他にもいろんな良いところ、好きなところが見つかりました。最新作も何年か経ったら冷静な目で見られるようになるのかも?その日を楽しみにしています。